社長がすべてのことを判断して指示する会社、いわゆるワンマン経営の会社ですが、中小企業には多く見られます。皆さんの会社はいかがでしょうか? 「なんか最近、社長の判断おかしくない?」ってことはありませんか?
最初はすべてワンマン社長
会社の創業期は、社長が1人で起業したり、社長を中心に数人で始めることが多いでしょうから、ほとんどがワンマン経営です。創業期は、スピードが大切ですから、社長の強いリーダーシップが成功に欠かせないはずです。
そうこうしているうちに、顧客や取引先も増え、売り上げも上がっていきます。当然、従業員も増えていきます。
従業員が30人にもなると、社長の目が隅から隅まで行き届かなくなるので、社長の代わりに方針を伝えたり、代わりに従業員を管理する人、役員や管理職が必要になります。
ただ、まだこの段階では、社長と従業員の距離は近く、細かいところまで目が行き届かなかったとしても、従業員の名前も仕事ぶりはある程度見ることができると思います。
会社成長期~安定期のワンマン社長
では、50人になったらどうでしょうか?
もうすべてを把握し、一人で判断することは難しいのではないでしょうか。一般的には、役員や管理職に実務の任せるところは任せ、経営上、重要な判断を周りの意見を参考にして自分自身で下すという形をとるはずです。
しかし、ワンマン社長は、人に任せることをしません。新入社員の勤怠や細かい経費まで、すべての情報を吸い上げようとします。そして、自分と異なる意見は、ほとんど聞き入れません。
業績が良ければ問題はないように思えるけど・・どうなんでしょうか?
業績が年々アップして、どんどん事業が拡大している時期は、短期的に見れば、ワンマン経営でも問題ないように思えます。
いよいよ問題が発覚 裸の王様の登場
しかし、会社は安定期に入ると、ずっと右肩上がりで行くものではありません。必ず、業績が横ばいになったり、下降したりする時期が来るものです。
問題が露呈してくるのは、こういう時期です。
長期間、ワンマン経営が続いていた場合、社長の周りが、イエスマンである役員や管理職で固められていることも少なくありません。いわゆる、「裸の王様」状態です。
真夏でも営業は上着とネクタイをするべきだよ。
1時間以内は残業代払わないからね。
社長のおっしゃる通りですよ。
みんな満足してますよ。
イエスマン役員は、社長の指示がどんなに間違っていると思っても、意義を唱えません。社長の耳が痛くなる情報も入れません。常に社長の顔色を見ながら、社長に判断を求めます。
当然、社長の指示は、ピントがずれたものになりがちです。おそらく、創業時の成功体験から染みついている方法を変えることはできないでしょう。
また、デジタル化や現在のコロナ禍のような、世の中の大きな変化についていけません。
よほど運がよくない限り、業績の回復は難しいでしょう。
社長の交代で問題は解決するのか?
では、社長を変えればいいのか、という単純な話ではありません。なぜなら、長年、ワンマン経営を続けてきた場合、社長を引き継ぐNO2が育っていないからです。
NO2は、立派なイエスマンに成長し、判断をすべて社長に任せてきました。そんな人に、「明日から社長やってよ」といっても務まるはずありません。自分の頭では何も思考しない、行動しない、指示待ち人間になっているはずです。
ましてや、業績は落ちているのですから、「私には荷が重い」とかなんとか言って逃げ出していくと思います。(そんな人に任せても傷口が広がるだけですが)
NO3以下も似たような人材になっていると思います。優秀な人は、とっくの昔に退職しているでしょうから、幹部全員が、自分では判断できない指示待ち集団であることは十分にあり得ます。
八方ふさがりになることは目に見えています。
処方箋
身売りしたり、銀行が経営者を送り込んでくるといった、思い切った外科手術的な手法をとらない限り、ワンマン経営が染みついている会社には、将来性はないと思います。
かといって、すぐに辞めるのも性急すぎます。
その会社で、他社でも通用するスキルが身につくか否かで判断したらいかがでしょうか?
スキルを身につけながら、転職も視野に入れつつ頑張り、会社が大きく変わるようなことがあれば、そこで頑張ればいいのです。変わらないと判断したら、即転職です。
全く、身につけるスキルがなければ、転職の準備にすぐにとりかかりましょう。転職でアピールするスキルがなければ、資格を取得するのもよいと思います。
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